2015年2月5日木曜日

2015/2/4 「       」


今回の稽古では初めてイプセン以外のテキストを使用して、ちょっとした試みが行われました。


そこで使われた1990年代に初演を迎えたアメリカの戯曲は、いわゆる放送禁止用語と呼ばれる単語にまつわるモノローグで、それを女性たちが読み、男性がそれを聞いている、それを村川さんが見ている、という数時間の稽古でした。


一般的に口にすべきではないとされる言葉をあえて口にすることで、本当は何も問題がないはずなのに一体何がどうなっているのよ! と現実を告発するその戯曲を、日本人として日本語を母語とする私たちが臨場感を持って口にするためには、「ヴァギナ」という言葉では少し物足りないのかもしれません。


その、

《『ヴァギナ・モノローグス』(原題:The Vagina Monologues)は、アメリカイヴ・エンスラーによって構成された一連の脚本、およびそれに基づく芝居の表題である。「ヴァギナ」は「女性器」、「モノローグス」は「独白(モノローグ)」の複数形であり、様々な女性たちが自らの女性器について語った内容が集められて構成されている。》

とウィキペディアに書かれたその戯曲を読んだ受講生の声を聞いた村川さんの感想は、なんだか、当事者の言葉に聞こえない、ということでした。


それから村川さんの指示は、みんなの「話すべきこと」を話すというやり方で、それぞれが任意の順番で自分の話すべきことを話すという事をやりました。


もちろん人が書いたテキストよりも自分の言葉の方が、リアリティを持って話すことができているようなのですが、少なくとも私たちが、ヴァギナという言葉で何かを語ることの嘘くささは無くなるようでした。

イプセンだろうとエンスラーだろうと私たちにとってリアルではない言葉の書かれた本の中にどんな臨場感を発見することができるのか、ということが今後の課題になるのかもしれません