2015年1月9日金曜日

12/17 この本を見よ!


始めて人形の家の前半部分のセリフが稽古場にて読まれました。

これまでの稽古では、テキストの後半、数ページのみを使いながら、ノーラが本の中で女性の制度から脱出したように、イプセンが決して要求していないであろう方法でこのテキストの関節を外すように、組み上がった仕組みを脱臼させるようにして本と関係してきましたが、今回の稽古では机をロの字に組んで、そこで順番にセリフの読み合わせを行いました。

そうやって皆で同じ本を読んでいると、いわゆる演劇の稽古をしているような雰囲気がしてきて、そんな風に言うと今までの稽古が演劇の稽古ではなかったような書き方になってしまうのですが、そもそも、イプセンの人形の家の全貌を誰も知らないまま始まったこの稽古場において、いわゆる、演劇、という制度は最初から予定されていないのかもしれません。

脱臼、関節外し、という言葉を好んで使った山口昌男は、演劇というものは反秩序であると言いました。それは悪いことをするのではなくて、ごく当たり前と思われているルールや制度や中心や普通の時間から外れたところに興味深いものがある、という事で、例えば、劇場は誰でも入る事は出来るけど、劇場の内側で行われる事は大体、普通の事ではありません。だってイプセンの人形の家は1879年に書かれたものですから、それは私たちにとって普通ではあり得ない以上、演劇というものは当たり前のように普通なんて似合わないのかもしれませんが、とは言え、読まなければわからない、と言うわけで、ここからの稽古は、イプセンの考えることにあやかって、少しテキストに寄り添っていく予定です。

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